それまで演劇体験が白紙に近い状態だった鋼太郎さんにとって、いきなり「雲」の橋爪功・岸田今日子など、名優揃いの舞台は強烈な衝撃だったに違いない。
――そう。だからこれが第1の転機と言えるでしょうね。橋爪功さんは本当にうまいですよね。それ以来、橋爪さんの追っかけみたいになって、演劇集団「円」に移られてからもほとんど観てます。
大学は上智の独文で、シェイクスピア研究会に入り、そこで3本シェイクスピア劇に出たんですが、その中の1本は『十二夜』でした。
それから大学を一年間休学して、劇団四季の研究生になりました。もうその頃の四季はミュージカルが主な演目になっていて、僕たちは朝8時半に行って大きな稽古場を掃除して、それから1時間半みっちりクラシックバレエのレッスン。
自分の目指したストレートプレイの方向とはまったく違うと思ったんで、早々に辞めさせていただきました。