多分第2の転機となる、蜷川さんに出会うのはいつ頃なのか。

――まだちょっと先ですね。

四季を辞めた後、シェイクスピアシアターという劇団に入って、そこに2年半いるうちに『ハムレット』を始めとしてずいぶんいろんな役をやらせていただきました。その時の演出家、出口典雄さんの指導というのが今でもかなり身についてます。

その後、劇団を辞めた有志で自分たちの劇団を作ったり、そのうちにバブルが来てグローブ座カンパニーみたいなものができて、そこでもシェイクスピアをやったりして、30代の頃は主に小劇場で芝居ばっかりやってましたね。

その頃の蜷川さんとの出会いとも言えない最初の出会いが、おかしいんですよ。

僕が劇団四季を辞めてシェイクスピアシアターに入るまでの間に、渋谷のパルコ劇場のこけら落とし公演・『下谷万年町物語』(唐十郎・作)のオーディションがあったんです。

ずいぶん大勢が応募して、結局主役は渡辺謙さんが受かって、僕は落ちたんです(笑)。