さいたま芸術劇場で蜷川演出の『ハムレット』を観た時、高齢の平幹二朗演じるクローディアスが自らを責め、本水(本物の水)を使って水垢離(みずごり)をするのに驚かされた。するとその場面ばかりが強く印象に残って、本筋がぼやけるように思われる。
――あれは僕もびっくりしましたね。ただね、これは極論かもしれないけど、世界中に存在するあらゆる戯曲に対して『ハムレット』、という区分けができるくらい、すごい作品だと思うんです。
素晴らしく完成されていて、劇作家の最高峰と言われるシェイクスピアの渾身の一作じゃないかと僕は思う。
だから今回は丁寧に、極力奇をてらったことはせずに、柿澤勇人君のハムレットを始めとした、俳優の台詞と肉体だけで正面から勝負したいと思っています。
プライベートについても何か一言。
――3歳になった娘にデレデレ状態ですね(笑)。娘はテレビに映る自分を見て、「パパ、パパ」って言ってくれます。まだ役者という職業まではわかってないと思いますけどね。
62の時の子供なんで、娘が20歳になると僕82でしょ。今は娘の花嫁姿を見るまでは、とにかく頑張りたいなと思っているところです。
いえ、もっともっと長く、演劇の素敵な夢を見せてくださいませ。
2024年5月7日(火)~26日(日)に「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」の第一弾『ハムレット』が彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて上演予定
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