春はあけぼの

「春はあけぼの。やうやう白くなり行く、山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」。

本郷和人先生が監修を務める大人気の平安クライム・サスペンス!『応天の門』(作:灰原薬/新潮社)

あまりに有名な『枕草子』の冒頭部分です。

春は曙がいい。次第に白んでいき・・と現代語訳するわけですが、それだけでは興ざめである。

愛する男と同衾していて、夜が白々と明けていく様を「二人で」楽しむ。春はそれが最高なの。清少納言の心情をそう読みこむべし、と私の師匠の五味文彦は解釈します(『『枕草子』の歴史学 春は曙の謎を解く』 (朝日選書))。