突然の入院

母猫と離してもよい3カ月を迎え、あと2週間で引き取れるという時、私は自宅のキッチンで倒れました。リビングにいた夫にかろうじて「私、今から気を失うから!」と伝えて。

そして汚れた敷物の上に横たわりました。もっと前にクリーニングに出しておくべきだった――そんなことを考えながら。

足が動きません。心臓がものすごい速さで、しかも不均一に打っています。昔から不整脈があったけれど、それまで特に生活に支障はなかったのに。

しかしここ半年で心拍数がかなり上がり、3週間前にアブレーションという簡単な心臓手術を受けたところでした。それで安心だと思っていたのに……。

救急に運ばれ、2時間におよぶ検査をして、途切れ途切れの心電図の結果が出ました。予後観察のために心臓科に入院し、なるべく早くまたアブレーションの手術をしてもらえるのを待つことに。

非現実的な気分でした。夫が癌だというのに、私のほうが入院しているなんて。家では子供たちが私を必要としているのに。しかし医師に「心臓を落ち着かせるために、もう一度“焼く”必要がある」と言われました。

ここ数年のストレスが溜まっていたのでしょう。愛する人が病気になり、闘病を支えるのは家族にとってもっとも辛いこと。

それに、健全とは言い難い会社で長く働いてきました。同僚は体調不良で休み、次々と辞めていきます。そこをマネージャーとしてやりくりせねばならず、時には3〜4人分の仕事をこなしました。

結局、心も身体もそれ以上がんばれない状態に追いこまれていたのです。