新しい環境に慣れないミア

生後12週間で体重が1キロもない小さなミアは、ストックホルムのアパートに帰る車の中でずっとニャーニャー鳴いていました。

家に着くとソファの下にもぐりこみ、一晩中出てきません。そして翌日も出てきませんでした。何も食べず、何も飲まずに。

床に腹ばいになって携帯電話のライトで照らすと、奥で震えているのが見えました。ソファの下にエサのお皿を入れたりもしましたが、食べてくれません。

私は息子たちが幼い頃高熱を出した時のような気分でした。お願い、どうかうまくいって!

エヴァからは「あと数時間以内に水を飲まなかったら、獣医に連れて行って水分補給して」と言われました。

もうこれ以上の病院通いはしたくないのに……。うちに慣れる前にミアは死んでしまうの?

その日、夕方近くになって、ミアはやっとエサを食べ始めました。家族全員が集まり、ささやき合いました。

「よかった、食べてる……」

これでやっと一安心。ミアも同じだったのでしょう。

数日後には当たり前のように家族の一員になっていました。そして全員が感謝の気持ちでいっぱいでした。

ミアがこれほど幸せを運んできてくれるなんて――。

※本稿は、『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』(新潮社)の一部を再編集したものです。


にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』(著:カリーナ・ヌンシュテッド、ウルリカ・ノールベリ 翻訳:久山葉子/新潮社)

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