また猫への扉が開いた時

2018年の夏、アンデシュの癌が発覚し、私たちの日常は完全に中断されました。次の化学療法、次の告知、次の手術、次の通院、救急車の呼び出し――そういったことにエネルギーをすべて費やす日々。

それでも私たちは素晴らしいチームでした。愛があれば何でも解決できる――そう思ってがんばったのですが、コロナ禍が始まった春に3度目の再発がわかり、これ以上悪いことは起きようがないという気分でした。アンデシュは田舎の別荘で隔離生活を始めました。

『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』(著:カリーナ・ヌンシュテッド、ウルリカ・ノールベリ 翻訳:久山葉子/新潮社)

5月になった頃、夫が予想外のことを言い出しました。

「猫を飼いたいと言ったらどう思う?」

私は夫の意図がまったく理解できませんでした。

「かなりアレルギーが起きにくい猫の品種があるって読んだんだ。サイベリアンだよ」

「本気? 検索してみたの?」

「うん、他にすることもないし。猫がいたら楽しいかと思って」

「本当にそう思ってる? 冗談を言っている場合じゃないのよ。アレルギーが出たらどうするの」

「試してみようよ」

それで私もむさぼるようにサイベリアンについて調べてみると、ずっと憧れていたノルウェージャンフォレストキャットに似ているし、毛もふさふさだし、犬みたいな性格ですって? うちにぴったりじゃないの。

なぜ今まで知らなかったの――。