ここが寝たきりの分かれ道
ケガや病気が快方に向かえば、寝たきりを改善することも、その後に寝たきりを予防することも十分に可能だといえます。
しかも、それは、単純に年齢で決まるものでもありません。
たとえば、私たちの施設に通っていらっしゃる鈴木さん(仮名)は、2023年の初め、脳卒中を患いました。
病状が落ち着いてからも体にまひが残り、2月からの3カ月間は歩こうとしても転倒ばかりしていたそうです。
実際、私たちの施設に通い始めた当初は、「こんなんじゃあ、もう俺、歩けないな……」などと、弱音を漏(も)らされることもありました。
しかし、もともとジムで体を動かすことにも慣れており、熱心にトレーニングマシンなどで機能向上訓練を続けた結果、普通に歩くことのできる日がずいぶんと増えたのです。
「こんなんじゃあ俺、歩けないな……」と感じていらっしゃったときに、以前と同じように歩けるようになることをあきらめて、機能向上訓練に取り組まず、外出を控えてばかりいたら……。
鈴木さんは、体のバランス感覚を取り戻すことなく、筋力は衰える一方で、今ごろは普通に歩けるどころか、ほとんどの時間をベッドの上で過ごしていたかもしれません。
現在の鈴木さんの姿を見れば、普通に歩けるようになるか、寝たきりに近づくかの分かれ道で、彼が最善の判断を下されたのだとわかります。