寝たきりになるのは、本当に仕方がないことなのか

では、なぜ、日本では寝たきりの人がこれほど多いのでしょうか。

それは寝たきりに対するあきらめの文化が根付いてしまっているからというのが、私の考えです。

『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(著:上村理絵/アスコム)

「年が年だから、寝たきりになるのも、しようがないよね」

私たちの施設のご利用者やそのご家族ではなく、特にケアマネジャー(介護保険を導入した際、介護プランなどを立ててくれる専門家)から、こんな言葉をよく聞きます。

そこで、私は必ずこう言うのです。

「いや、いや、いや。そんなことはないですよ。90歳の方でも、ある程度の負荷をかけて、ちゃんとトレーニングをすれば、筋力は維持できますから、寝たきりになるとは限りません」

そもそも、寝たきりは病気ではありません。

ケガや病気がきっかけで寝たきりが始まることはあっても、寝たきりそのものは病気ではなく、あくまでも衰弱の1つの形態です。