兵士は今なお戦っている
親族の葬儀で、焼かれた人骨を見たことは幾度かある。箸を使って骨上げした経験もある。
しかし、焼かれる前の人骨と接したのは、この「首なし兵士」が人生で初めてだった。
散らばっていた歯の長さにまず驚いた。焼く前の歯はこんなにも長いのかと。
この兵士の亡きがらを見る限り、指など小さな骨は土に還る寸前になっていると感じた。
一方で、腕や足など太い部位は原形を保っていた。
大腿骨を持った際のずしりとした感覚は、しばらく僕の手から消えなかった。
兵士はまだ戦っているのだ。僕は強くそう思った。
故郷に帰るため、風化と戦っているのだ。