孤独ベタな弥太郎の成長
ただ、お寺に迎えた弥太郎は、こちらの心配をよそに、わりと早く馴染(なじ)みました。私よりも、妻に(笑)。ぎゅるんぎゅるん甘えて、お腹を見せて転がりまくり、寝る時も一緒。
元の飼い主さんがひとつだけ付けた「必ず1匹で飼うこと。他のネコに愛情が移ったと思わせないように、多頭飼育はしないでほしい」という条件の意味がよくわかりました。
もんのすごく、寂しがり屋で甘えん坊のネコさんやったんです。
孤独なんて、全然愛しているように見えませんでした。
むしろ、孤独ベタでした。
しかし弥太郎には、自分の「これ、好きや!」を見つける力がありました。
お寺の中で気持ちいい風が吹き抜ける場所を探し当てるのも、めっちゃうまかった。いつしか、妻や私がそばにおらんくても、のびのび過ごすようになったんです(甘えっぷりは相変わらずですが……)。
孤独ベタな弥太郎は、自分の「好き」「気持ちいい」に素直に従うことで、おひとりさまを楽しめるようになったんやないか――そんなふうに、私には思えるのです。