気球が膨らみ始める

どうしようか。寒くなってきた。でも何万人か、まだ残っている。やりそうなのか? 状況を知るすべがない。観客は何を頼りに行動してる? 経験か。

小腹も減ってきたので、とりあえず河川敷の土手から、めちゃくちゃに混んでる屋台村に戻り、ソース焼きそばを買い食いした。肌寒い屋外で食べるあったかい焼きそばは、たまらなくウマイ。

日が暮れてきたが、しゃべり続けの男女DJは、イベントをやるのかやらないのかちっとも言わない。なんなんだよお前らその馴れ合いの雑談は。

今の状況説明がいつまでもないままにゲラゲラ笑ってたりするのでだんだん腹が立ってくる。ヤキモキするうちに、空が素晴らしい夕焼け空になってきた。

すると、一機、また一機と、予告なく地上で膨らんでいく気球がある。カラフルな気球に、夕日が当たって美しい。何しろ気球はひとつひとつが大きいので、膨らんでいくと存在感もすごい。

そのうちハイエースがどこからともなく一台一台とやってきて、畳まれた気球を地面に広げ始めた。

お、やるのか。風、大丈夫そうなのか。なにもわからないが、とにかく、気球を上げそうなチームが三々五々、動き始めた。横に倒れた形で、気球があちこちで膨らみ始めた。ボクの期待もゆるゆると膨らんだ。

だがなにしろ、大観衆が「おおーっ」とかどよめく瞬間が全然ない。静かにダラダラした進行(?)なので、ことの成り行きを見守るしかない。