『ゲゲゲの鬼太郎』の作者、水木しげるさんの娘・原口尚子さん(左)と、『銀河鉄道999』の作者、松本零士さんの娘・松本摩紀子さん(右)(撮影:大河内禎)
〈発売中の『婦人公論』11月号から記事を先出し!〉
漫画やアニメで今も親しまれる『ゲゲゲの鬼太郎』の作者、水木しげるさん。『銀河鉄道999』をはじめ、人々のロマンを掻き立てる作品を多く手掛けた松本零士さん。ともに父亡き後、プロダクションの代表に。娘が語る父親の素顔は――(構成=大西展子 撮影=大河内禎)

「漫画家の娘」から逃れたかった

原口 摩紀子さんと初めてお会いしたのは、東映アニメーションの清水愼治プロデューサーが引き合わせてくれたのがきっかけ。水木プロダクションも松本先生の零時社も同じ家族経営なので、「いろいろ情報交換ができるし、絶対に2人は気が合いそうだから」と。

松本 私が本格的に父の仕事を手伝うようになった頃ですから、5年前ですね。

原口 私、摩紀子さんと会うとホッとするんです。同じ感覚で話せるから話しやすくて。

松本 私が「子供の頃はなるべく親から離れていたかった。できれば自分のことを誰も知らない学校に行きたかった」と話したら「私も同じ」とおっしゃって。私はいつも「松本零士の娘」と言われるのがつらかったから。

原口 私は絵を描くのが好きだったけど、「お父さんが漫画家だからうまいんだね」と、必ず父と関連づけられてしまう。それがイヤで、父とは切り離して私のことを見てほしかった。

松本 中学生になると、小学校の時より広い地域の生徒が集まりますよね。ちょうど父の漫画がアニメ化されてヒットした後でしたので、何かと特別な目で見られるわけです。目立たないようにひたすら気をつけていたけれど、やっぱり親からは逃れられない。それを認めるまでにすごく時間がかかりました。