(写真提供:『悲しみは笑い飛ばせ!島田珠代の幸福論』/KADOKAWA)

「あき恵姉さん。お願いだからデートについてきてほしい」

こうして、初デートはあき恵姉さんという保護者同伴で行くことになったのです。当時の私は、男性に食べている姿を見られるのがものすごく恥ずかしい行為だと思っていて、まったく話に集中することができませんでした。

もしかして「スプーンに乗せるピラフの量多すぎやない?」って思われてる?食べ方が汚いって思われてるのかも。

え、待って。スプーンを口の中に入れるときに、口の中見られてる?

そんな考えが頭の中にあふれ出して、私の緊張度はマックス。皿にあるピラフをスプーンで口に運ぶまでの間に、手が震えてすべて床にまき散らしてしまうという失態を犯してしまったのです。

私が、ピラフと格闘している間にも、あき恵姉さんは「どんなところが好きなの?」とお相手に話を振ってくれているのに、私はまったく会話に参加できないまま時間だけが過ぎていきました。

結局、その日の記憶はピラフの具についてしかなく、何度思い返しても何を話していたのか、あき恵姉さんがどんな服を着ていたのかも覚えていません。