仏教の教え
そばにいた尼君(あまぎみ)が「まあ、なんと幼いこと、罪になりますよといつも言っていますのに」とため息をつきます。
尼君の考えは、生き物を殺すことをいましめる、不殺生戒(ふせっしょうかい)という仏教の教えに基づくものです。無益な飼育は、殺生に通じるという考えです。
しかし子どもが生き物を飼いたいと思うのは、自然なことです。
とくに小さなもの、愛らしいものをそばに置いて、かわいがりたいと思うのは、その生き物が自分と同じ仲間であり、大切な友だちだという感覚があるからでしょう。
そして紫の上が仏教の教えと無縁だったのは、大人とは別の世界にいるからです。