私たちの腸内に存在する「隠れた臓器」

腸内マイクロバイオータの中には、ビタミンB類やビタミンKなどを産生するものが存在します。

例えば、私たちが普段食している納豆に含まれる納豆菌は、ビタミンKを産生します。この納豆菌と同じはたらきをするマイクロバイオータが腸内に存在します。

(写真提供:Photo AC)

また、神経伝達物質であるセロトニンは、腸内マイクロバイオータがL-トリプトファンから産生する代謝物や、腸の粘膜細胞が産生する5-ヒドロキシトリプトファンを原料として産生されます。

乳酸菌やビフィズス菌の中には、γ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA<ギャバ>)を産生するものも存在します。

ちなみに、私たちは、腸内マイクロバイオータが産生した短鎖脂肪酸を体内のエネルギー源として利用し、ビタミンKは血液を凝固させるために利用しています。

セロトニンやGABAといった神経伝達物質は、腸管神経系の活動を調節するために用いられています。

このように腸内マイクロバイオータは、私たちヒト自身が体内で産生できない物質を作り出せるので、「隠れた臓器」とも呼ばれています。