リリー・オンコロジー・オン・キャンバス 絵画部門入選『希望の光を求めて』
絵画部門入選『希望の光を求めて』西村 育恵(にしむら いくえ)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

深い意味を持つこととなった一枚の写真

この絵は、2009年に私がスウェーデンへ一人旅行をした時に撮った写真から着想を得ています。当時12月のストックホルムは日照時間が殆どなく、毎日暗くて寒い日々でした。時折ほんの一瞬、分厚い雲の隙間からパッと明るく照らす太陽の光が、すべての世界を美しく包み込み、暖かくて幻想的な世界が目の前に広がります。

その一瞬を写真に収めたことが、後に私の人生に深い意味を持つことになりました。

それから10年後の2019年、私は余命宣告を受けていました。初期治療した癌が肺に多発転移し、抗がん剤が効かなければ余命は1年も持たないでしょうと主治医に言われたのです。子どもはまだ4歳、主人にもがんが見つかり、私は治療に専念するために仕事を辞めざるを得なくなりました。

コロナも流行り始め、当時「私の人生は終わったのかもしれない」と思いました。