反抗期真っ只中の息子なりのお返し
私が野球のお弁当を作る時も、朝まだ顔を作る前の寝起き姿で、息子の弁当に「気」を送りながら肉を焼いたりチャーハンの鍋を振っている。
「打って…」「勝って…」「負けないで…」「怪我だけはやめて…」
もうほとんど呪いである。
そんな思いをぎゅうぎゅう詰めこんだお弁当に、あったかいスープとスポーツゼリーやバナナなどを添えて、今日も息子を野球に送り出している。
我が家の味と大増量に込めた私の思いに対して、反抗期真っ只中の息子、素直に感謝の言葉が返ってくるとは到底思えない。
でもその試合、息子がドロドロになってグラウンドを駆け回って、たった1本でも会心の当たりを見せてくれたり、クタクタながらもいい顔でその1日を終えていくのを見た時、私としてはなんだかすっかり報われたような気がしてしまうのだ。
きっと息子なりに空っぽの弁当箱、何にも載ってなかったような完食後のピカピカのお皿、米一粒も残さないでっかい飯碗を返すことで、親の思いにほんの少し応えているつもりなのかもしれないな。
「わかってるって」と、少しぶっきらぼうな口調で。