「人の役に立つ社会」を作らないと
それは大変ですね。昔あった「こびとプロレス」なども差別的と言われてなくなり、働く所は減っているのに、国から保障もされないなんて。
東 そうよね、障害者年金もないしね。
マメ でも社会はそういうことを見ようとしない。どこかの局は、ロケの街の風景に車椅子の方が横切っただけで、観た人からクレームが来たんだそうです。なぜ車椅子なんか映すんだと。
――おかしなことです。なぜそんな反応を?
東 多分、障害のある人と会うと不安になるんですよ。その奥には「社会の役に立たないと生きる資格がない」という思い込みがあると思う。自分がそこからこぼれてマイノリティになることが怖い。だから関わるのも躊躇するのではと。
ドリアン 障害者を扱う番組とかも、「守ってあげなきゃ」的に上から目線だったり、「ダウン症の子はみんな天使」みたいに型にはめちゃう。見ると「もやもや」するわ。もっとフラットでいいのに。
東 最初は戸惑いもあるだろうけど、慣れればなんてことないですよ。同じ人間なんだから。
エスム 「健常者で健やかである」ことだけがよしとされる社会って不健全よね。みんないろいろ違うのに。
東 あと、最近は「障害者も役に立てる社会に」という圧もあって。とんでもないですよ。役に立てる力がない人も沢山います。人が社会の役に立つというより、「人の役に立つ社会」を作らないと。
――ですね。誰もがマイノリティの側になる可能性もあります。もちろんそれは悪いことではないですが。
ドリアン そういう「もやもや」をちょっと見つめてほしいかなって。でも私たちは「世の中を啓蒙しよう」とか力んでもないのよね。まずは楽しんでほしいの。
エスム 最初はこの映画を観た方は「ここで笑っていいのかな」と、戸惑ったりもするかも。でも私たちは楽しんでほしくてやっているので、遠慮なく自由に笑ってほしい。
マメ でも自分は今でも、「電車に子ども料金で乗りてエー!」って主張したいよ。
全員 (笑)