平安時代の結婚の習俗

当時の結婚は、一族の家長同士が、それぞれに最適な結婚の相手を選んでおこなわれる、とても公的なものでした。

しかし、源氏と紫の上の間には、そうした表だった関係はなく、親子のような、兄妹のような、仲のよい間柄でした。

『美しい原文で読む-源氏物語の恋のことば100』(著:松井健児/中央公論新社)

そんな関係の延長としての結婚でしたから、紫の上にとって、この結婚はとても意外なことでした。

紫の上には、なんの心の準備もなく、結婚については、誰からもきちんと教えてもらっていなかったのでしょう。