あなたは「趣味は何ですか?」と聞かれて、堂々と答えられる趣味がありますか?「今は忙しいけれど、時間ができたらやりたい趣味がある」、という方も多いのではないでしょうか。多数の趣味を持つ作家・国文学者の林望さんは、「趣味は本気で取り組むからこそ楽しくなり、思いがけない自己実現にもつながる」と語ります。そんな林さんの著書『結局、人生最後に残る趣味は何か』より一部を抜粋して紹介します。
趣味が人生にもたらすものとは?
人生にはなぜ、趣味が必要なのか。
……その答えの一つは、実りある人間関係を作ることにあります。人は、たった一人で生きていくことはできません。
生きていく上では周囲の人との関わりが必要不可欠であり、楽しく生きたいと思うなら、より良い人間関係を作ることが重要です。
普段から仕事一辺倒で、人間としての「余白」の部分がまったくない人は、どうしても周囲からつまらなそうに見えてしまいます。つまらなそうに見える人と、あえて付き合いたいと思う人はいません。
つまらなそうに見える人は、周囲の人との関わりが乏しくなり、ますます退屈な人生を送るという負のスパイラルに陥ります。
「私は誰とも付き合わず、一人で読書をしているだけでいい」「自室で一日中鉄道模型を作っていれば大満足」
そんなふうに主張する人もいるかもしれません。いや実際にそういう信念を持った人もいることでしょう。
けれどもそれはなかなか強靱(きょうじん)な精神が必要な生き方で、現実には、人生をたった一人で生きていくのは実に寂しく難しいことです。