この国に一生住んで社会の一員として関わりたい

3年前には、日本国籍も取得しました。この国に一生住んで、社会の一員として関わりたいなと思ったんです。来日当初から考えていたのですが、長い間日本に住んで、気持ちが変わらなかったらそうしようと思っていました。日本の帰化条件は厳しいですし、もともとの国籍を放棄する覚悟も必要ですからね。

帰化する際には、名前(ヤコブ・セバスティアン・ビヨーク)を絶対に日本名にするつもりでした。力士は親方が名付けをするから、僕も親方にお願いしたんですが、責任が重いから嫌だと(笑)。それで、親方のお父さんが名字を考えてくれました。

「村雨」というのは、村雨退二郎という昭和の作家から来ています。「辰剛」は、自分で考えました。僕は辰年生まれなので「辰」をつけて、「剛」は親方の名前から勝手に拝借しました。武将みたいに強そうな名前になったので、親方からは、「名前に負けない人生を送りなさい」と、プレッシャーをかけられています。

日本名を名乗ることに周囲がどのように反応するか気になっていましたが、最近は皆さん自然に受け入れてくれます。どちらかというと、外国人のほうが難しいようです。最近8年ぶりにスウェーデンに帰ったのですが、日本のパスポートで出国したら、中継地のドバイでひどい目に遭いました。入国審査の時にさんざん質問されて、「あなた日本人じゃないでしょ」って(笑)。入国できないんじゃないかと焦りましたよ。