メイコさんの没後に見つかった、誕生日祝いの手紙

最後の誕生日プレゼント

実は、こんなことがありました。僕の誕生日は1月2日で、毎年、必ずバースデーカードをくれたんだけど、彼女が亡くなった時点でもうカードをもらえないなと思っていた。ところが元日の夜、机の引き出しを開けたら原稿用紙が入っていて、「ハッピー・バースデー」と書いてあったんです。

「心よりお祝い申し上げます。いつの間にやら、長い長い旅路。こんな手のかかるヘンテコな女を長々と面倒見てくださって、泣き虫の私は、ここまで書くだけで涙がぽろぽろです……」

そして毎朝、僕が朝食を用意していることへの感謝の言葉が綴られ、締めに「おとうさん! 神津サン! 愛してます!」。

女房は死ぬ前に、「愛してます」と書いてくれた。これ以上の誕生日プレゼントはありません。そんな彼女の気持ちが、いじらしくて、かわいそうで、読み返すたびに泣いてしまいます。

でも、あまり泣いてばかりいると、心配をかけてしまいます。どうせもうすぐ向こうで会えるんですから。一周忌を機に、もうメソメソするのはやめようと思います。