北海道・富良野の大自然の中に暮らす倉本聰さんを、江原啓之さんが訪ねました。倉本さん原作の『ニングル』がオペラ化され、江原さんがその舞台に演者として立ったことがご縁なのだとか。作品に込められた「真の豊かさとは何か」について、語り合います
(構成:丸山あかね 撮影:本社・武田裕介)
(構成:丸山あかね 撮影:本社・武田裕介)
作品作りの原動力は社会に対する怒り
江原 今朝、ホテルの窓からキタキツネを見ました。畑の中ではなく歩道を走っていたので、律儀だなと思わず笑ってしまったのですけれど。
倉本 彼らはルールを守るんですよ。
江原 ワハハ。それにしても、富良野はいつ来てもいいところですね。こちらへ拠点を移されて何年になりますか?
倉本 1977年からだから、50年近くになります。気づけば、僕は90歳ですよ。手は震えるし、脚も弱りましたが、首から上はしっかりしているので助かっています。頭がボケなけりゃ、創作活動は続けられるのでね。
江原 倉本先生の仕事の原動力とは何ですか?
倉本 一言で言えば「怒り」だと思います。社会や政治に対する憤り。もっと言えば、自然をないがしろにして、進化、進化と騒ぎ立てる風潮に怒りを覚えるんです。