筋力を/今日も維持して/長寿かな

男性ホルモンは筋肉とも関係しています。筋肉を増やすと男性ホルモンも増えるし、男性ホルモンを増やすと筋肉も増えます。

このため、筋肉が弱った幸齢患者さんには「男性ホルモン補充療法」を施すことがあります。

登山家の三浦雄一郎さんをご存じでしょう。80歳のときに「エベレスト世界最高齢登頂」を成し遂げました。この偉業の奥には男性ホルモンの支えがあります。

三浦さんは76歳のときにスキーで転倒し、骨盤と大腿骨を骨折するという大ケガを負いました。

年齢を考えれば「寝たきり」になる人も大勢います。三浦さんも筋力が低下し、気力も削がれたそうです。ところが、ここから奮起します。

医師の勧めで男性ホルモン(テストステロン)の注入を試みました。すると、気力や体力が回復し、筋力も戻っていきます。そして偉業を達成したのです。

一般的に、幸齢になると筋肉は減っていきます。70代になるとそれが加速し、太ももの筋肉量は30歳のときの3分1にまで落ちると言われています。

筋肉が減ってくるとサルコペニア(筋肉減少症)という状態になり、日常生活に支障が出てくる人もいます。歩行も困難になるため、動くのが億劫になり、ますます筋力は弱っていきます。

こんなときに「もう年だから」と言って、動かない生活を続けるのか?「年だから」新しいことにチャレンジしてみるのか?

同じ「年だから」でも、晩年の人生は、大きく変わってきます。筋力は「晩年を元気で過ごせるか否か」の命運を握っていると言えます。

そのためには、男性ホルモンを増やすこと。肉食、運動、性的活動に加え、ホルモン補充療法もありだと思います。

 

※本稿は『女80歳の壁』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。


女80歳の壁』(著:和田秀樹/幻冬舎)

「夫の世話・介護からくるストレスや負荷」「骨粗しょう症による骨折で歩けなくなる」「家族を亡くしたさみしさでうつになる」

「女80歳の壁」を、80歳以上でいきいきしている「幸齢女子」はどう乗り超えているのか?
その最強の方法は、とにかく肉を食べること、好きなことだけをして生きること。

高齢期を楽しみ尽くすための生活習慣を詳細に解説。