【幸福寿命を延ばす5つのルール】
2)誰かと自分を比べない

「あの人は、若いころからずっと幸せそうだ」「あの家は、いつも素敵な旅行ばかりしているみたい」「あの人は出世が早くて、自分より給料も多いだろう」など、まわりの人と自分を比べてしまうと、幸福感は低下する一方です。他人の幸せや成功を見て自分を比較することで、自尊心が傷つき、自己肯定感は低下して、ストレスは増えるばかりです。

幸福だと思える時間を増やすためには、「自分と誰かを比べて幸せかどうか」と考えるのはやめることです。大切なことは、自分自身のペースで生きることです。推し活のように、自分が楽しみながら続けられる活動を見つけることで、心の健康を維持することができます。

他人と比べないことが大事だと言いましたが、歳を重ねたからこその例外もあります。例えば、歳を取ると誰でも体力が低下し、人によっては体が不自由になり、若いころのように思ったとおりに活動ができなくなることが増えていきます。

そんなときに、「自分の足で歩けるのだから幸せ」「大きな病気もせずに生きられていることが幸せ」というように考えることは、決して悪いことではありません。

全米で話題になった『ハピネス・カーブ 人生は50代で必ず好転する』(日本版:CCCメディアハウス)の著者、ジョナサン・ラウシュ氏は、歳を取るほど幸せになる理由について、次のように述べています。

「(歳を取ると)ハピネス・カーブ(=幸福のUカーブ)が上昇するのは、自分の価値観が変化し、満足感を得る事柄が変化し、自分という人間のありようが変わるからである。自分が変わることで、老年期になってからも思いがけない充足感を得ることができるようになったり、自分の抱える弱さや、病気まで受け入れられるようになったりするのである」

この説明を読んで私は、「人はもともと、歳を取るほど幸せになるようにできているものなのだ」と改めて思いました。

年齢を重ねたからこその変化を気負わずに受け入れることも、幸福度を高めることに繋がるのだと思います。

『60代から100歳以上まで 人生が楽しくなる「シニア推し活」のすすめ』書影
『60代から100歳以上まで 人生が楽しくなる「シニア推し活」のすすめ』(著:和田秀樹/KADOKAWA)