肉体だけではなく、脳の働きも徐々に低下していく
年齢を重ねるにつれ、「衰えたな」と自覚することも増えるでしょう。物忘れがその代表格です。
誰かに会ったときに「顔は覚えているが、名前が出てこない」といった症状から始まり、物や場所の固有名詞がなかなか出てこず、「あれ」「これ」「それ」「どれ」といった指示代名詞を多用して会話をしてしまうといった現象です。
これらは脳の貯蔵庫である「側頭葉下面」という部位などから、過去に経験した記憶を取り出す能力が衰えてきている証拠で、脳全体の機能が低下したサインです。
また、主に中年期以降は、物の名前が出てこないのとは違うタイプの物忘れにも見舞われるようになります。
自分がとった行動や、新しい情報を脳に記憶として取り込むのが苦手になるのです。何かをしているときに同時に違うことをすると、それまで何をしていたかをころっと忘れてしまうというものです。
何か考えごとをしている最中に携帯電話にメッセージが届き、その返信をした後に、それまで考えていたことを忘れてしまったという経験は、皆さんも心当たりがありませんか。
これは、記憶の書き込みを司る「前頭前野」という部位の機能が低下して起こる事象です。前頭前野の記憶の取り込み機能が低下すると、新しいことをしたり覚えたりするのが苦手になります。
中年期や高齢期以降に多く見られるタイプの物忘れには意欲の低下も加わっており、より深刻な状態です。