仕事も子育てもひと段落し、時間や心理的な余裕が生まれる65歳からは、いわば人生のゴールデンタイム。脳を鍛えるのにも絶好のタイミングだと、脳トレの第一人者・川島隆太さんは言います。川島隆太さんの著書『脳を鍛える!人生は65歳からが面白い』より、食事、運動、睡眠、人間関係など、認知症にならずに《上手に老いる》ための習慣を紹介します。
自分の「老化具合」を確認してみる
60代にもなると、多くの人が毎日身体のどこかしらに不調があったり、頭がうまく働かないと感じたりすることが増えるのではないでしょうか。
改めて自分の心身がどのくらい老化しているかを確認してみてください。老化具合については、次のような事柄である程度判断できます。
1:階段をスムーズに下りられなくなった
筋力が低下してくると、足の動きがおぼつかなくなります。平坦な場所を移動しているときは気づきにくいものですが、階段を下りる際につまずきやすくなったり、「手すりにつかまらないと怖い」などと恐怖心が生じたりします。
若者は携帯電話を片手に駅の階段を駆け下りたりしますが、老化が始まるとそうはいきません。ゆっくり下りるようになったら筋力低下のサインです。
2:歩いていると人に抜かされるようになった
歩く速さも筋肉の衰えを知る指標になります。人が多い場所で、波に乗って歩けていますか。人の群れを追い越して歩いている人は、筋肉はさほど衰えていません。
人に抜かれるようになったら要注意。後ろから来ている人に気づくか気づかないかも、注意力の有無の目安になります。
3:家事の手際が悪くなった
料理や掃除といった家事は、究極のマルチタスクです。湯を沸かしながら野菜を切る、汁物をつくった後に肉を焼く、洗濯しながら掃除機をかけるなど、先を見通して作業の順番を決め、並行して異なる事柄をこなすために、脳は活発に働いています。
脳が老化(前頭前野の機能が低下)してくると、ひとつ食器を洗ったら別のことをしてまた別の食器を洗うなど、作業の手際が悪くなったり、時間がかかるようになったりします。
家事は毎日のことなので、こうした衰え(変化)を自覚することは少ないのですが、しばらく会っていなかった家族が帰省の折などに、老親の変化に気づくことがあります。
4:腹が立つことが増えた
前頭前野の機能が低下して、感情の抑制が利かなくなると些細なことにも怒りを覚えるようになります。
一度怒りだすと、ますます感情が高ぶって収まらなくなるといったことも。「最近イライラしてばかりいる」と感じたら要注意です。
怒りだけでなくテレビドラマなどを観ていてすぐに泣いてしまうなど、「年をとって涙もろくなった」というケースも前頭前野の衰えが関係しているかもしれません。