足首が原因で起こる痛みのメカニズム

では、神経の圧迫、足根管症候群を例に、その「痛みのメカニズム」を説明していきます。

足首近くのせまいトンネル足根管で末梢神経(坐骨神経から枝分かれした後脛骨神経)が圧迫されてダメージを受けました。このとき、圧迫された箇所(足根管)より体の末端側、つまり足裏や足先でしびれが発生します。

『いつまでも自分で歩ける100歳足のつくり方』(著:萩原祐介/河出書房新社)

正座をして足がしびれると、足先は感覚がなくなりますよね? あれを思い出してもらうとわかると思います。圧迫によってダメージを受けた箇所があると、それより先には感覚が伝わらない。それがしびれです。

その一方、痛みは、ダメージを受けた箇所より体の中央側に出ます。実際に痛めつけられている場所とは関係のない場所が痛くなるのです。

これはふだんの生活ではないことなので、なかなか想像しにくいかもしれませんが、イメージとしてはこんな感じです。「事故現場」からは痛いという感覚を伝えることができなくなってしまったので、その代わりに「異常信号」を中央側に送ります。そしてその異常信号をたまたま感知できた場所があると、その場所が代わりに痛くなるのです。

具体的には、膝や大腿、お尻などに痛みが出るのですが、痛む場所にはなんの問題もありません。痛みの信号を受信して、原因箇所の代わりに情報を伝えただけです。

坐骨神経は非常に長い神経で、足首で発生した神経のダメージが、お尻で感知されてもなかなか結びつかないのは、無理もないことです。

<『いつまでも自分で歩ける100歳足のつくり方』より>