英国オックスフォード大学で2010年に博士号を取得された彬子女王殿下。ご著書『赤と青のガウン オックスフォード留学記』はベストセラーとなっています。グローバルな視点で日本美術史の研究をされた殿下が今、国内で伝統文化を伝える活動に励まれる思いをうかがいました(構成:山田真理 撮影:三浦憲治)
論文を書くのは「やっぱり楽しい」
5年間に及ぶ留学生活を綴られた『赤と青のガウン』が出版されたのは、2015年のことでした。
――昨年、本を読んでいただいた方のSNSがきっかけで出版から9年を経て文庫化され、多くの方に読んでいただきました。
留学にあたって、父(親王殿下)からは「留学中は成年皇族として公務をすることができないのだから、きちんと国民の皆さんに文章で報告をしなさい」と強く言われておりましたので、その約束が果たせたのではないかとほっとしています。
文庫がベストセラーとなりましたが、ご自身の生活に変化はおありでしたか。
――取材を受けることが増えたからでしょうか。街で気づかれることが多くなりました。私の場合はいかにも屈強そうな側衛官が必ず近くにおりますので、本人だと確信されるようです(笑)。
勤務する大学のある京都で「京都について書かれたご本を読みました」とお声がけいただくのも、著者として嬉しい限りです。