日本の武士道精神を世界に伝えたい

するとなんと二日後、「決まりました」と返事が来た。もう既に5月になっていた。「よし、行くぞ」と燃えた。

私にはある思いがあった。ハリウッドが作る日本が舞台になっている映画には、間違いが多すぎる。装置にしても、衣装にしてもそうだ。

第1、まともな日本語も話せない俳優が日本人役をやっている。あれはどういうことなのか。何故、誰も何も言わないのか。

或(ある)いは間違いと思っていないか、知らないかだ。観ていて何とも歯痒かった。

しかも、今回は江戸時代になる前の戦国時代の話、迂闊にやったら酷いことになるぞと思い、ヒロに連絡したいと思ったが、連絡先は教えられないと言われ、まぁ向こうで会ってからでも良い、ヒロなら必ず分かってくれると信じていた。

私は兎にも角にも、本当の日本の武士道精神というものを世界に伝えるのだという気持ちが日に日に高まっていった。

 

※本稿は『未完成』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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未完成』(著:西岡徳馬/幻冬舎)

「まだ、足りねえ……!」
人生は演じることの繰り返し。喜びも悲しみも、演技こそが己の魂を呼び覚ます。
懸命に生きる全ての人へ、お祭り騒ぎの初自伝!!

新境地を開いた「幕末純情伝」、一世風靡した「東京ラブストーリー」。そして2024年、エミー賞最多部門賞受賞「SHOGUN 将軍」。高倉健、勝慎太郎、つかこうへい、蜷川幸雄、杉村春子といった英傑たちの等身大の生き様。
人生78年。役者歴半世紀以上。
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