介護を家の中に閉じ込めないでプロの力を最大限活用して
専門家のアドバイス:介護する人にもリフレッシュタイムが必要
介護される人と介護する人が24時間365日ずっと一緒にいれば、虐待につながっても不思議ではありません。同居家族が介護を一手に引き受けることの難しさはここにあります。
このケースでは、私なら、まずはお父さまが家を出るためのサービスをお気に召すまで紹介し、親子が一緒にいる時間と空間を少しでも減らすプランを提案したいと思います。
ショートステイやデイサービスに馴染めなければ、とりあえず、ヘルパーに買い物同行してもらい外出する機会をつくることから始めたいですね。
虐待は精神論では片づけられません。疲弊しきった関係性を断ち切るには、物理的に離すことが最優先です。
閉鎖的な家族関係から物理的に離れて、介護する人もされる人もリフレッシュできるサービスを利用できるのが介護保険制度なのです。
親の介護の時期に、上手に、医療者、介護者などプロの手を借りるすべを身につけることは、将来、自分に介護が必要になったときのシミュレーションになるのではないでしょうか。
※本稿は『じょうずに頼る介護 54のリアルと21のアドバイス』(太田出版)の一部を再編集したものです。
『じょうずに頼る介護 54のリアルと21のアドバイス』(編:一般社団法人リボーンプロジェクト/太田出版)
親の介護は〈自分介護〉のリハーサル。では、「よそンちはどうしてる?」
親の認知症介護から完全セルフ介護まで、当事者たちの実体験によるリアルな事例集。本音で知りたかった実践的裏ワザと、正気の保ち方。
『じょうずに頼る介護』リボーンプロジェクト編・太田出版刊