バブルが弾けた平成元年(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

文明が進み私たちの暮らしは便利になっているはずなのに、なぜか昔に比べて生きにくくなってきていませんか?ロングセラー『定年後のリアル』シリーズの著者・勢古浩爾さんが綴る「なんの変哲もない日々」は、地味だけどなんだか自由――。「あの頃はよかった」と徹底的に懐かしむエッセイ『77歳、喜寿のリアル:やっぱり昔は良かった!?』より一部を抜粋して紹介します。

やっぱりわたしは昭和でできている

いまさらいうのもなんだが、昭和は、昭和元年(1926年)から昭和64年(1989年)1月まである。

わたしが生まれたのは昭和22年(1947年)。幼稚園の記憶はごく一部だけあるのだが、はっきりした記憶があるのは、たぶん小学校2年からである。

すなわち昭和29年(1954年)、わたしが7歳のときである。友だちのマー坊ちゃんと、「今度の(女の)先生は鼻が丸いなあ」と話をしたのを覚えているからである。

マー坊ちゃんは笑った。したがって、わたしが知っている昭和は、昭和29年から昭和64年までの35年間ということになる。7歳から42歳までである。とても昭和の大半を生きたとはいえないが、半分は生きたといっていい。

わたしの脳の大半は「昭和20年代から60年代」の記憶で占められているのである。その後、43歳から77歳のこんにちまで、平成・令和の34年間を生きていることになる。

けっして短い期間とはいえず、わたしが生きた昭和の時間に匹敵する。だが平成時代のイメージが結びにくいのだ。