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日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「大田南畝」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

大田南畝について

蔦重と、南畝が書いた黄表紙評判記『菊寿草』をきっかけに、交流がスタートした天明狂歌のスター・大田南畝。桐谷健太さんが演じて、早速ドラマ内で存在感を発揮しています。

あらためて、実際の大田南畝(寛延2年・1749年~文政6年・1823年)は幕府に仕えた御家人で、通称を直次郎、のち七左衛門といい、名は覃(ふかし)。

字は子耕、号が南畝、別号もいろいろあって、蜀山人は有名ですが、玉川漁翁、石楠齋、杏花園、遠櫻主人、巴人亭、風鈴山人、四方山人などなど。

まあ気分によって使い分けたんでしょうかね。

狂歌を詠むときには「よもすがら」をもじって四方赤良(よものあから)、狂詩には寝惚(ねとぼけ)先生と称しました。

この辺は今でいう“こじらせ”のようなものですので……あまりまじめに受け取らなくても良いでしょう。