息子は、働く母の利点をわかってくれていた
「もっともっと、あなたと一緒にいればよかった」と、私は、しゃくりあげながら言った。息子は、「そうだね、小さいころは、ずっとママの帰りを待っていた」と、優しく背中をさすってくれる。
私は「働く母じゃなければよかったね、ごめんね」と嘆いた。働き続けたことについて後悔したのは、後にも先にも、この一瞬だけである。
しかし、息子は、こう答えてくれたのだ。「もう一度やり直せたとしても、おいらは、この働くハハがいい。外の空気を持ってくるというか、世界を知ってるのがいい。何より、一生懸命でカワイイよ」
私は、自分の母親がとても優秀な専業主婦だったので、母親が傍にいてくれることの安寧をよく知っている。そうしてあげられれば、そうしてあげたかった。
けれど、息子は、働く母の利点をわかってくれていた。母たる者、どちらの道も、堂々と行けばいいのに違いない。
※本稿は、『子育てのトリセツ 母であることに、ときどき疲れるあなたへ』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
『子育てのトリセツ 母であることに、ときどき疲れるあなたへ』(著:黒川伊保子/ポプラ社)
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