エジソンのような発明家になれ、と言う親

親は単純に、自分が自分自身の期待通りの人間でないことに不満を持ち、その不快感から気をそらすために子どもを責める。そして子どもが対処できないようなところまで追い詰めていく。こうして子どもは、自分の実際の姿に罪悪感を持ち、実際の自分ではいけないと感じるようになる。

しかし、子どもを責めることで自分の心を癒やせる親ばかりではない。たとえ子どもがいたとしても、そんな従順な子どもばかりではない。そうなると、親はどこかに従順な子どもに代わる者を見つけなければならない。その中の一人が会社の部下である。

子どもに「エジソンのような発明家になれ」と言った親は、実は親という名前であっても、心理的には親ではなく、復讐者となっている。

親の憎しみを解決する手段が子どもであった。こうした復讐者となった親から責められている子どもは、案外できのいい子どもであり、世間から見ればどうでもいいことで頑張らされている。こうした親は些末なことに煩い、そのうち子どもは取るに足らないことを重要なことと勘違いし始める。

※本稿は、『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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