2021年に内閣府が高齢者向けに行った調査によると、普段、食生活について気になっていることは「栄養のバランスがとれていない」ことだと答えた人は約2割いたそう。「見た目の若さには、日々の食事が関係している」と話すのは、『老けない最強食』(文春新書)を著したジャーナリストの笹井恵里子さん。さらに笹井さんいわく、「鉄分たっぷりの『牛肉』は、貧血の人に向いている」とのことで――。
貧血の人には牛肉が向いている
心の落ち込みとともに疲労感も強いようなら、ビタミンB1が多く含まれる豚ヒレ赤肉(ランキング2位)がいい。ビタミンB1は別名“神経ビタミン”とも呼ばれ、神経の機能を円滑に保つのに役立っている。不足すると物忘れがひどくなったり、憂鬱な気分やイライラにつながる。糖質の代謝に欠かせないため、足りないと糖質からエネルギーを作れず、疲労物質が体内に蓄積されて疲労感が強くなる。
「ビタミンB1は糖化を抑え、体内でAGE(老化物質)が発生するのを防ぐ働きがあることがわかっています。水に溶けやすく、体内にストックできないので日常的に少しずつ摂るように心がけましょう」(AGE牧田クリニック院長・牧田善二医師)
「豚肉」は、あらゆる食品の中でこのビタミンB1の含有量が群を抜いて多いのだ。
鉄分たっぷりの「牛肉」は、貧血の人に向いている。貧血を放置していると、酸素や栄養素を含んだ血液が全身に行き届かず、老ける要因になる。
「ただし脂身には中性脂肪やコレステロールを増やす飽和脂肪酸が多く含まれているので注意してください。牛ヒレや牛ももなどをしゃぶしゃぶなどでいただくといいでしょう」
鴨肉も鉄分が豊富で貧血を改善するが、皮下脂肪が多く、脂質の割合がかなり高い。一方で馬や鹿、鯨の赤肉は高タンパクで鉄分も牛肉並だが、低脂質のためおいしさの点で好みが分かれるかもしれない。