(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
「沈黙の臓器」と言われ、気づかないうちに悪化してしまう恐れがある<腎臓>。「いまからでも、腎臓の寿命は延ばすことはできます」と断言するのは、腎臓の研究と臨床に30年以上取り組んできた、東北大学名誉教授・上月正博先生です。今回は、上月先生の著書『東北大学病院が開発した 弱った腎臓を自力で元気にする方法』から、一部を抜粋してお届けします。

ほとんどの日本人が塩分を過剰に摂取している

腎機能の状態がどのステージであったとしても、また腎臓病を患っていない健康体であったとしても、すべての人が第一に考えなければいけないのが減塩です。

日本は“塩分大国”ともいわれるように、ほとんどの人が塩分過多の食事をとっています。

厚生労働省が実施した令和5年の国民健康・栄養調査の結果によると、食塩摂取量の平均値が9.8gであり、男性が10.7g、女性が9.1gと世界保健機関(WHO)が定める規定値(食塩相当量で5g未満)の約2倍となっていました。

塩分を摂りすぎると必然的に血液中の塩分濃度も高くなるので、過剰摂取分を排出しようと腎臓の糸球体や尿細管に大きな負担を強いてしまいます。

また、過剰な塩分は血圧上昇の誘因となりやすく、腎機能の低下を早める原因にもなります。

さらに加えれば、高血圧そのものが慢性腎臓病の発症原因となり、すでに罹患している場合は病態を悪化させてしまうことも念頭に置くべきでしょう。