色合わせの妙を感じるようになる

着物に帯、半衿、帯締め、帯揚げ、足袋、襦袢と、着物を着るときには色をあわせるポイントがたくさんあり、色への感覚がどんどん洗練されていきます。

着物の仕事をするようになって最初に思ったこと、それは淡い色が多いということでした。

訪問着や色無地といった礼装着は、特に淡い色が多いです。例えば、ピンク色でも桜色や鴇色(ときいろ)。青色だと浅葱色(あさぎいろ)、緑色だと青磁色(せいじいろ)、若竹色(わかたけいろ)など、中間色が多いのです。

イメージ(写真提供:Photo AC)

着物は「和服」とも呼ぶように和の心の結晶です。そして和の心とは、自己主張を抑えて周りとの調和を重んじる心。だから周りと調和しやすい色である中間色を用いるのでした。

実際着物の色遣いにだんだん慣れてくると、自分を目立たせようという自分目線の心から、周りに溶け込ませたいという虚心に変わっていくように思います。