二つのおはぎに違和感が……
しばらくして、ふと視線を上げた時である。
「何だこれは?」
仏壇に供えられた二つのおはぎを見た時、その違和感に気がついた。
おはぎの表面が、ぐねぐねとまるで生きているかのように動いている。
蝋燭の灯りでそう見えるのかと思ったが、どうも違う。ぶつぶつの小さな無数の黒い粒が、おはぎの表面にびっしりと張り付き、小刻みに動いている。
それは、何百とも知れない大量の蝿の群れだった。
そして動き回る群れの隙間から見えたもの。それは、おはぎではない。
――それは、切断された猫の首だった。
二つの腐敗した猫の頭が高杯の上に置かれており、その表面を大量の蝿が蠢いていた。
「うわっ!」
思わず声が漏れた。
空気が動き、蝋燭の炎が揺れる。
ブーン! と蝿が暴れ、黒い霧のように離散した。
ズズ……、と周囲の人影がこちらへ向けて距離を詰めてくるのがわかった。
大村さんは両手を後ろへ突き、座ったまま後退りした。
ドン! と背中に何かが当たった。
振り返ると、自分を見下ろす老婆が立っていた。