「遊び」はどんどん派手に
数年後に父が亡くなってからは、母の認知症が悪化した。Mさんが外出すると、不安で何度も電話をかけてくるようになり、最終的に荷物の仕分けの仕事も辞めざるを得なくなる。
「父が亡くなってからの5年間はほぼ無職です。母が受給した年金は月20万円ありましたし、貯金もあったので」
そしてMさんの「遊び」はどんどん派手になっていった。
「400万円くらい使っていた月もありました。女の子と同伴でフグや寿司を食べに行ったり、店でシャンパンを入れたりしてましたから」
母親が亡くなった時に、ちょうど60歳になったMさんは、今度は自分の年金の受給申請をした。年金は何もしなければ65歳からの受給になるが、申請すれば60歳から繰り上げ受給できる。ただし、60歳からの繰り上げ受給を選択すると、受給額が24%減額されるうえに、この額は生涯引き上げられない。さらに病気やけがになった時のための障害年金が受け取れなくなるなどのデメリットもある。それでもMさんは、月7万円の年金を繰り上げ受給した。さらにスナックで意気投合した人から紹介された機械メーカーでパートを始めた。パート収入は月8万円。
「焦りはなかった。母が亡くなって介護が終わり、心から解放された気分で遊び続けました。セクキャバの女の子が平井堅のファンだというので、自分も大好きになっちゃって。横浜アリーナのライブにも行きましたよ。『僕は君に恋をする』っていい歌ですよねー」