松屋銀座(東京都中央区)の下着売り場。ワイヤーがあるものでもワイヤーの底辺が広く、バストをナチュラルに支えるブラジャーが目立つ
バストは盛るより解放されたい――。女性がブラジャーに求めるものが変化している。かつてはバストを支えてシルエットを整えるワイヤ―ブラジャーが主流だったものの、コロナ禍を経て解放感や着け心地の良さが求められるように。大手下着メーカー「ワコール」の調査では、2023年度にノンワイヤーブラの市場規模がワイヤーブラを上回ったという。アパレルメーカーも下着市場に参入し、ついには「バストを支える」という役目を捨て解放感を重視した1枚で着られる「ブラレスウエア」も登場した。バストラインを整えたい日もあれば、ノーブラでリラックスして過ごしたい日もある。多様化する女性下着事情を取材した。

自然に美しく

「バストを寄せてあげてシルエットを補正するものよりも、自然な着け心地が重視されるようになりました」と話すのは百貨店「松屋銀座」(東京都中央区)の下着担当バイヤー、関根楓さんだ。
松屋銀座の下着売り場では、日本の大手下着メーカーの「ワコール」や「トリンプ」を始め、国内デザイナーズブランドやインポートも扱っている。

かつては国内ブランドのブラジャーといえば、パッド入りで寄せてあげるタイプが定番だったが、関根さんは「ワイヤー入りのブラジャーでもワイヤーの形が変わってきました。寄せてあげるような深いU型のワイヤーではなく、ナチュラルな形のままバストをやさしく支えるような形のワイヤーのものが増えています」と説明する。

国内ブランドでも着け心地がよく自然なバストシルエットを作るものが人気だという。2018年に誕生した「Maimia(マイミア)」は、ナチュラルな着け心地に加え、洋服の一部に見えるような下着っぽくないファッショナブルなデザインが人気。トレンドのシースルーのニットなどに合わせて透けて見えてもかわいらしいデザインが多い。

「マイミア」の売り場にはファッショナブルなデザインのブラジャーが並ぶ

インポートの下着ブランドではよく見かけるのがパッドを使わない「ノンパテッドブラ」。バストのナチュラル志向の高まりから国産ブランドでもよく見かけるようになったという。

「ランジェリーク」のノンパテッドブラ

自然なフィット感を重視したブランドとして人気の「ランジェリーク」では、ノンパテッドブラが豊富に揃う。

『ランジェリーク」のブラジャー。パッドがなく、底辺が幅広いワイヤーがゆったりとバスト支えるという。

「パッドが入っていないタイプはバストトップの透けや隆起が気になるかもしれませんが、服を着てしまえばバストトップはわかりません」と関根さん。パッドがないため、解放感のある軽い付け心地が人気だという。