CCRC――世界の高齢者施設の最前線

前述した海外に存在する大規模施設は、「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」と言われます。

CCRCは、自立期から介護・看取りまでの暮らしを一つの敷地で連続的に支える生涯居住型コミュニティを指します。発祥は1960年代の米国で、教会系団体が信徒高齢者の転居負担を減らす目的で始めたとされています。その後、大学、医療法人、非営利団体などの参入が相次ぎ、現在では全米に2000施設前後、入居者は70万人超と推計されます。

『未来をつくる介護』(著:森山穂貴/クロスメディア・パブリッシング)

構成は大きく三層です。第一にキッチンやガレージを備えたコンドミニアム型住宅で過ごす〈インディペンデント・リビング〉、第二に見守りと生活支援が付く〈アシステッド・リビング〉、第三に医師・看護師が常駐する〈スキルド・ナーシング〉です。

三層が横並びに配置されるため、身体機能が低下しても、敷地外へ転居する必要がありません。友人関係や生活動線を保ったまま、サービスレベルだけを引き上げられます。この「横スライド型」の動線設計こそ、米国モデルの大きな特色です。

費用体系は入居一時金と月額利用料の組み合わせで決まり、代表的な契約方式は三つです。〈ライフケア型〉は一時金が高額ですが、介護段階の追加負担がほぼ生じません。〈モディファイド型〉は一時金と月額を中程度に抑え、一定期間だけ定額で、その後は実費精算します。〈フィー・フォー・サービス型〉は一時金を最小化し、介護サービスを都度払いする形です。

運営法人は受け取った一時金を十年単位で運用し、債券発行や長期融資と組み合わせて施設改修や人材育成に充当します。資金計画を長期で描ける点が運営上の利点です。