「大学病院」の良いところ・悪いところ
「大きな病気は大学病院に限る」という「大学病院信者」は、まだまだ多いようです。大学が医師の教育・育成・配置、研究、臨床応用をリードした時代が長く続いたので、大学の医局を筆頭としたヒエラルキーが、現代の医療システムの中でも、ある程度は残っているのは間違いありません。
そして、いわゆる「旧帝大」が研究や臨床応用をリードしている診療科も、いまだにあります。特に、古くから存在する診療科(内科、外科、皮膚科、精神科、耳鼻咽喉科、泌尿器科など)は、その傾向があるように感じます。
ところが、がんは、ある意味ほとんどすべての診療科が関係してくる、“診療科横断”の疾患群です。身体のほとんどの部位で発生し得ますし、治療法として外科的な手術もあれば、抗がん剤を使った内科的な治療もあれば、放射線治療もある、といった具合に、診療科が広くまたがる方が普通です。
こうした疾患では本来、異なる診療科が協力し合う「チーム医療」が必要になるのですが、大学は診療科縦割りの“タコツボ”組織の文化が残っていることが多く、「チーム医療」が不得手な傾向があります(特に、外科系と内科系の診療科間の垣根が高い印象があります)。そして、歴史の長い「旧帝大」は、より一層、その傾向が強いイメージがあります。
さらに、患者が多く、医療者も忙しいため、外来診療では長時間待たされる可能性が高い、という面もマイナスです。
ということで、がんの場合は、「大学病院なら絶対間違いない」「有名大学の診療レベルは他よりも優れている」というような先入観は、持たない方が良いでしょう。
とはいえ、確かに、臨床研究はがんセンターと並んで盛んで、治験への参加に興味があるのならチャンスがあるでしょうし、がん以外の重篤な持病があって、大学病院で治療しているような状況であれば、同じ病院で治療が可能、といった利点はあります。
こうした長所と短所を両方とも考慮した上で、考えるべき選択肢と言えるでしょう。