本音で話す人が好きなので、マツコ・デラックスさんの番組や、『徹子の部屋』『サワコの朝』など、芸能人が赤裸々に自分のことを話す番組に呼ばれるのは嬉しかったですね。

『婦人公論』5月26号の表紙に登場している藤原しおりさん(表紙撮影:篠山紀信)

ブルゾンちえみがよく言う言葉に、「みんな~、本能で生きてる~?」というのがあります。それに対してみんなが「生きてる~!」ってレスポンスしてくれる。その場はものすごく盛り上がるし、私もファンの方々が喜んでくださる声を聞くのはすごく嬉しい。でも、その時間が終わって我に返ると、そう言っている自分自身が本能で生きていないんです。これじゃ何の説得力もありません。それもつらかった。

事務所をやめると話した時に、「大人になりなよ」とアドバイスしてくれた方もいます。その方のおっしゃることは理解できます。だけど、ここで言う「大人になる」って、どういう意味でしょうか。「妥協できるようになる」「しようがないと思いながらやれるようになる」ってことですよね。

私は妥協して生きていくような大人にはなりたくなかった。もちろんいろんな人がいていいと思うけど、挑戦しようとする大人もいないと、子供たちが大人になることに夢を描けなくなりそうなのがすごく嫌だったんです。「何のために生きているんだろう?」なんて、若者たちには絶対に思ってほしくない。だから、ピースの綾部(祐二)さんがニューヨークに拠点を移した時は、何歳になっても挑戦するってすごい、私も頑張ろうとパワーをもらえました。

これからは、「本能で生きるってこんなに気持ちいいよ」と心から言えることがとても嬉しい。心と体が密着していく感じがしています。可能性は無限大、何でもできるぞって、今は無敵な気分(笑)。たとえすぐには仕事が入ってこなくても、ちゃんと生きていける。そういう自信みたいなものは今、すごく湧いています。

 

1年かけて退所の準備を進めて

私が事務所をやめてフリーになろうと考え始めたのは1年前。ちょうど今年の3月31日が契約の更新日だったことも、このタイミングで独立した理由として大きかったです。

でも直接のきっかけは、去年の3月に初の単独ライブをしたことでした。「ライブで自分のやりたいことはこれだったんだ!」と思えるほどの達成感を得た一方で、終わった後、「よし、打ち上げだ。イエーイ!」という気分にはならなかった。こういうエンターテインメントをやりたい、こんな私を見てもらいたい、と思っているのに、実際にお金を稼いでいるのはテレビの仕事。

一方、単独ライブのためには自分でお金をかけて、用意しなきゃいけないこともたくさんありました。これじゃ仕事ではなく趣味なんじゃないか、このままでいいのだろうか、と違和感を覚えてしまったんです。