日本の謙遜文化は二枚舌文化だとも言える

鈴木 自分を尊重するということは、人に何と言われようと揺るがない自分の中心軸を作るうえでとても大事なことです。自分で自分を認めれば、人は本来の力を発揮することができます。本来の自分の力を発揮できれば自ずと中心軸ができるのですが、この邪魔をしているのが謙遜文化。日本人は贈答品を渡すときにも「つまらないものですが」などと言いますよね。

江原 つまらないものなら贈らなければいいのにと、突っ込みたくなります(笑)。でもあれは、「あなたのような立派な方に気に入っていただけるかわかりませんが」という、相手への敬意を表すための表現なのですよね。

『最良の人生を生きる法則』(著:江原啓之、鈴木秀子/ビジネス社)

鈴木 奥ゆかしいのは日本人の素晴らしいところなのですけれど、自分を下げて相手を立てるという点が気になります。たとえば「あなたのお子さんは優秀ですね」と誰かに褒められたとしましょう。ほとんどのお母さんが「いえいえ、うちの子はできが悪くて」などと、とりあえず謙遜するのです。端で聞いている子どもがどう思いますか?

江原 ワハハ……。いや、笑い事ではありませんね。子どもの心を傷つけてまでへりくだるのは、確かに行きすぎかもしれません。

鈴木 しかもお母さんは本当は我が子を褒められて嬉しいのです。「いえいえ」と口では否定しながら、相手が「そんなことありませんよ。本当に優秀です」ともう一度言ってくれることを期待しているようなところがあって、その意味では謙遜文化は二枚舌文化だとも言えるのです。この二枚舌文化が人間関係を複雑化しているのではないかという気がします。

江原 シスターなら、人から褒められたらどのようにお答えになるのですか?

鈴木 「ありがとうございます」と伝えます。それは自惚れているからではなく、相手は私のことをそう感じてくれているのだなと素直に受け取るからなのです。

江原 謙遜文化の日本では「自惚れ」を極度に嫌う傾向がありますが、自分を尊重することと自惚れはまったく違いますよね。むしろ自分を大切にすることは素晴らしいことだと思うのです。

鈴木 もちろんです。宇宙には自分を大切にする人は他者からも大切にされる、自分を大切にしない人は他者からも大切にされないというエネルギーの法則が働いているのですから。