自分を尊重することと自惚れはちがう

江原 人間関係というと、自分と他者との関係を思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、実のところ「自分と内なる自分」の関係も大切な人間関係なのですよね。

鈴木 それが一番大切な人間関係で、自分と内なる自分が意見別れしていたら何が起きても戸惑いが生じてしまいます。

たとえば自分が「嬉しい!」と思っても内なる自分が「くだらない」と口を挟んだり、自分が「悔しい!」と思っても内なる自分が「大人げない」と制したり。すると素直になることの邪魔をして、他者との関係性に悪影響を及ぼすのです。あるいは自分の答えが見つからなくてイライラしたり、悶々とするということもあるでしょう。そういう人が他者から大切にされるかと言ったら難しいですよね。

江原 ところが「私は自分が好きだ」と素直に表明する人がいると、「自分好きだなんて、とんだ自惚れ屋だ」と揶揄する人が目立ちます。

鈴木 でもそうした人だって自分が褒められれば嬉しいはずです。

江原 承認欲求の強い人は、同じように承認欲求の強い人を笑いものにする──そんな傾向があると思います。だからこそ、人を揶揄する人こそ信じがたいのです。

鈴木 人は自分のエゴというフィルターを通して他者を見る習性があります。ですから結局のところ、真に自分を尊重できるのは自分だけなのです。自分に寄り添えるのも、自分のことを理解するのも、自分の味方も自分だけなのです。このことを認識した人から自分の中心軸ができるのだと私は考えています。