厚生労働省によると、2025年9月1日時点の住民基本台帳に基づいた100歳以上の高齢者の数は9万9763人で、55年連続増加しているそうです。そのようななか、生命科学とオートファジーの権威である大阪大学名誉教授・吉森保先生は「21世紀に入り、生命科学研究の最前線では『老い』に対する考え方は大きく変わっている」と語ります。そこで今回は、吉森先生の著書『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』から一部を抜粋し、老化の謎と健康長寿の最前線に迫ります。
慢性炎症は、免疫の掃除が追いつかなくなっている状態
私たちの体の中では、年をとると「老化細胞」と呼ばれる細胞が増えてきます。
通常、細胞は新しく入れ替わります。細胞は古くなると、体内の免疫が出動、その細胞を除去します。そのあと、細胞の母となる細胞からまったく同じものが分裂してくるのです(脳や心臓の細胞のような生まれてから死ぬまで、ずっと同じひとつの細胞もあります)。
しかし、人が年齢を重ねると、細胞は入れ替わりがうまくいかず、「もう分裂するのはやめた。でもまだ生きたい」とでも言いたげに、体内に留まりはじめます。
通常は古くなった細胞を除去してくれるはずの免疫が、その手が回らずに残ってしまっている状態です。これが老化細胞です。
この老化細胞が、慢性炎症と関係があります。なんと、老化細胞になった細胞は炎症物質を出し続けるのです。
こうなると、まるで「みんなも私と同じになれ~」と言うかのように、まわりに炎症物質をばらまき、そこから炎症が起こります。それが「SASP(細胞老化随伴分泌現象)」と呼ばれる現象です。