<姿勢の崩れ>が脳にとって不利になるワケ

ではなぜ姿勢の崩れが、脳にとって不利になりうるのでしょうか? 体の仕組みから考えると、主に次の3つが挙げられます。

(1)呼吸が浅くなり、脳への酸素の供給効率が落ちる

猫背では胸郭(肋骨まわり)が縮み、横隔膜も動きにくくなります。その結果、呼吸が浅くなり、慢性的に酸素が入りにくくなります。姿勢や頭部の位置が、脳の酸素化や循環の効率に影響しうることがわかっています。(※)

(※)Cerebral Oxygenation Declines in Healthy Elderly Subjects in Response to Assuming the Upright Position D. Jannet Mehagnoul-Schipper et al. Stroke, 2000

更年期世代は、もともと睡眠の質が落ちやすく、疲労やストレスも重なりがちです。そこに浅い呼吸が加わると、脳はさらに「疲れやすい状態」になります。

(2)血流・自律神経が乱れ、脳が回復しにくくなる

一方で、姿勢が崩れると首・肩の緊張が強まり、血流が滞りやすくなります。加えて、交感神経が優位(緊張モード)になりやすく、不眠・疲労・気分の落ち込みにもつながります。

脳にとっては、休む時間が減り、回復しにくい状態となりがちです。臨床的にも「姿勢の崩れ→自律神経の乱れ→睡眠の質低下」という連鎖はよく見られることです。

(3)「動けなくなる」こと

さらに重要なのが「身体活動量の低下」です。亀背が強くなると、バランスが悪化して転びやすくなることが報告されています。(※)転倒を恐れると外出が減り、活動量が減る。

身体活動が落ちることは、認知機能低下や認知症リスクと関連することが、大規模研究でも繰り返し示されています。

たとえば、身体活動が低い状態が続くことは、将来的な認知機能低下と関連することが報告されています。つまり姿勢の崩れは、「動けなくなる入口」になりやすいのです。
(※)The effects of Hyperkyphosis on Balance and Fall Risk in older adults: A Systematic Review. Zeinab Gasavi Nezhad et al. Gait Posture. 2025