「永住すること」とは
駅まで徒歩7分。会社までの通勤を最優先で買ったマンションですが、あまり出社に及ばず、となった現在「駅まで近い」ことの意味を考えなおす時期に入っています。かつてよりもはるかに家で過ごす時間が増えていく現在、自分たちの住んでいる街の様子が目に付くようになります。
毎朝毎夕通過するだけだった街の昼間の様子がわかるようになったのは実はコロナ禍のときでした。リモートワーク中心の生活となったことで、平日の昼間に自分たちが住んでいる街中にはどんなお店があって、日々どんな人たちが暮らしているのかが明らかになったはずです。
今は再びリアル勤務に戻ってきた会社も多いですが、やがてほぼ毎日をこの街で暮らすと考えた場合の生活の青写真を想定しているでしょうか。住んでいるマンション(あるいは戸建て)も築年が経過するにつれて、取得当初は輝いていた姿も街中の風景にすっかり溶け込んでいます。周囲には最新鋭のマンションが陸続し、新住民にマウントをとることができません。
通勤時間、子どもの学校環境、近くに大型商業施設、新築、マンションブランドなど購入当初は優先順位が高かった項目を今一度チェックしてみると、現在では順位が変わっているものも多いはずです。自分たちの家庭環境も変化していく中で住まいが置かれている状況も変化しているのです。
一時期、マンションも「永住する時代」などと喧伝されましたが、私は永住することとは必ずしも同じ家に住み続けることではなく、気にいった街やエリアに住み続けることだと定義しています。その点で30歳代後半から40歳代前半の働き盛りの時の価値観で取得した家に今、本当に幸せを感じているのか、チェックしてみることをお勧めします。
※本稿は、『50歳からの不動産-不動産屋と銀行に煽られないために』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『50歳からの不動産-不動産屋と銀行に煽られないために』(著:牧野知弘/中央公論新社)
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